スタッフMさん(受付・助手/入社2年目/22歳)は、入社当初、新人の義務である日報を毎日続けられなかった。
それから2年が経ち、今では周囲の誰からも頼りにされる存在となり、スタッフ内からの投票で「今期、最も成長したスタッフ」に表彰された。これまでの2年間を振り返り「考える優先順位が変わったのが一番大きかった」と語ってくれた。
Mさんは、9月入社だから、
今月で丸2年だね。
振り返って、
どんな成長があった?
この2年で、自分が急激に変わりました。
考え方、考える優先順位が変わったのが一番大きいです。
たしかにMさんは変わったよね!
どう変わったの?
以前は・・・
自分の気持ちを優先して「患者さんに従ってもらいたい」が先だった。
業務が増えるから嫌だな囧とか顔にモロ出しちゃってましたw
でも、何が一番かを考えるようになりました!
なるほど^^
そんな時期あったねw
やっぱり、自分の気持ちより患者さんが優先だし、自分の業務が増えるのは患者さんには関係ないと思えるようになりました!
すごい成長!
あとは「いま何が優先なのか?」に気づく時間が早くなったと思います。
以前は・・・
先輩から「そっちじゃなくて、こっち先やって!」と指摘されると「えー、だって…」とか「でも…」とか
「業務増えるし…」と思って、氷になっていました。
先輩に言われても「あー、はい ⤵️ 」とか反抗的な態度をとっていて、
私マジ最低なやつでした(笑)
あったあった^^
なつかしい(笑)
こないだ患者さん対応に迷ったケースがあって、
先輩のIさんに「こうしたら?」と言われて「あ!そっか!そのほうが患者さんにとって良いな!」と思って、素直に動けました!
最近は、患者さんの都合とか相手の背景を考えられるようになって、今できる最善のことをしようと行動できるようになったと思います(笑)
Mさん、すごい成長したね!
自分の気持ちをちゃんと感じれているね。
こないだの研修テーマだった”内感”しっかりできるね!
Mさんとの関わり方ポイント
Point1. 入社当初の観察、違和感
入社後3ヶ月間は業務日報を毎日提出する決まりになっていたが、Mさんは続けることができなかった。
提出を忘れたり、やっていないのに「やってあります」と平気で嘘をつくこともあった。
その都度、周りの先輩スタッフや院長はモヤモヤしていた。
結局、3ヶ月を過ぎてもきちんとできるようになるまで日報を提出することになり、Mさん自身もモヤモヤを募らせていた。
受付での動きもカタく、患者さんへの対応も淡白で、学生時代に「居酒屋でのバイト経験があり楽しかった」「部活でバスケットボールをキャプテンとして一生懸命やっていた」と語っていたMさんと、診療中のMさんの姿が一致しない違和感があった。
まるで借りて来た猫のようで、社会人としてきちんとしなくちゃと緊張しているようにも感じた。
Mさんの持っているポテンシャルが十分に発揮できていない。
Point2. バスケをするように働いてごらん
Mさんは学生時代にバスケットボールを一生懸命しており、ポジションはセンター。キャプテンも経験していた。
高いポテンシャルを秘めていると思っていた。
ある1on1を境に、Mさんの動きがみるみる良くなっていった。
その時に伝えたのは「バスケと仕事は一緒だ」ということ。
その言葉にMさんは驚いていた。
「仕事を難しく考えすぎていたのかもしれない」
バスケは、ゴールまでボールを運んで得点をとるのがチームの目標。
そのために、パスを繋いだりディフェンスしたり仲間と協力する。
言われたとおり・決められたとおりに動くのではなく、状況に応じてドリブルしたりシュート放ったり、柔軟な判断・対応が必要になる。
本人の経験や成功体験に重ね合わせて仕事をイメージする。
仕事も一緒で、患者さんが満足して「ここにきてよかった」と笑顔でお帰りいただくのがチームの目標。
ボールを患者さんに置き換えて考えてみるとわかりやすい。
受付で挨拶して診察券をお預かりし、TCにパスを出してカウンセリングする。
その後、歯科衛生士につなぎ、歯科医師や歯科助手、そして最後に受付に戻ってきて、笑顔でお帰りいただいてシュートが決まる。
シュートが決まれば、患者さんが継続して来院してくれて、満足してくれれば家族や友人を紹介してくれる。
いつも同じように同じペースで診療をやっていればいいわけではない。
イレギュラーな事象は必ず起きる。
その時々の状況判断が大切になる。
「バスケと仕事は一緒でしょ?バスケをやるように仕事をしてごらん!」
仕事とバスケは同じだと腹落ちしたようで、少しずつ動きが良くなっていった。
ささいなきっかけで腹落ちすれば、人は自ら動き出す。
Point3. ちいさな努力とちいさな変化を承認して、背中を押す
大切なのは「伝えた後の観察」である。
本人なりのちいさな努力やちいさな変化を見逃さずに「キミの努力を見ているよ」「その調子だよ」「応援しているよ」というメッセージを伝えると、人はぐんぐん成長する。
Mさんも1on1の後、動きが変わったのが目にみえてわかった。
患者さんとのコミュニケーションを彼女なりに工夫しているのが見えた。
診察券をお預かりする時に、患者さんの名前を言うようになった。
すかさず私は「いまの患者さんの名前を呼ぶのはいいね!意識して伝えてるの?名前を覚えてもらえるのは自分が患者だったら嬉しいよね!」なんて言いながらMさんのちいさな努力や工夫を承認する。
すると努力や仕事の工夫がぐんぐん加速していく。
その後・・・
日報を提出できなかったMさんが別人であったかのように成長し、周囲の誰からも頼りにされる存在になった。
入社から2年後の期末、スタッフ内での投票で「今期で最も成長したスタッフ」として表彰された。
2年間を振り返り「考える優先順位が変わったのが一番大きかった」と語ってくれた。
成長を応援することで、成長が加速する・止まらない。
以上、Mさん成長の中で「関わり方のポイント」をピックアップしたが、これがすべてはありません。一番は本人の決意と努力、そして院長や周囲のスタッフの熱心な毎日の関わりの賜物です。主役はスタッフ。あくまで我々のサポートの「関わり方」の一例のご紹介です